不正はなぜ起こるの? 3つの原因を知り、その対策を取ろう!

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クリード・コンサルティングの関口です。

今回は、情報漏えいや、情報持ち出しなどの、不正が起こる原因について、お話ししようと思います。

2017年は、神戸製鋼、スバル、三菱マテリアルなど、日本を代表する企業での不祥事が相次ぎました。

これらの不祥事は、現場でのルール違反やコンプライアンス違反のみならず、組織としてのコンプライアンスの欠如、倫理観が欠如した組織風土、組織体制に端を発するものです。

2018年に入っても、企業の大小を問わず、情報漏えいや情報持ち出しなどの、多くの不祥事が発生しています。

  • 「予約管理システムの開発を手がけるリザーブリンクは、同社製品に対する問い合わせを行った、顧客の情報を、元従業員が不正に持ち出し、利用していたことを明らかにした」
  • 「エステティックサロンを運営する、シェイプアップハウスは、元従業員が顧客情報を持ち出し、自身が開業したサロンの営業活動に利用していたことを、明らかにした。」
  • 「経営幹部や専門家などの、人材紹介事業を展開する、リクルートエグゼクティブエージェントの元従業員が、顧客情報を、不正に持ち出していたことが明らかになった。」

また、日本レスリング協会でのパワハラ、財務省でのセクハラ、芸能人のセクハラなど、さまざまな不祥事がニュースを賑わせています。
ニュースにならない、パワハラやセクハラなどの不祥事は、数限りがないでしょう。

「このような不祥事が起こる原因は、どこにあるのでしょうか?」
「不祥事が起こる原因の背景に、どのようなメカニズムがあるのでしょうか?」

実際の横領犯を長年にわたり研究した、アメリカの組織犯罪研究者である、ドナルド・R・クレッシー(1919-1987)が提唱した、「不正のトライアングル」という理論があります。

不正のトライアングルでは、「機会」「動機」「正当化」の、3つの要素(原因)がそろったときに、不正が起こる、というものです。

会社で発生した、情報漏えいや情報持ち出しなどの不正を、この不正のトライアングルに当てはめると、不正が発生した原因を、整理しやすくなります。

以下に、不正が起こる、3つの原因(不正のトライアングル)と、それぞれの対策について、説明したいと思います。

1.動機(プレッシャー)

不正が起こる動機

不正のトライアングルの、1つ目は、動機です。

クレッシーは、不正が起こる原因を、下記のように定義しました。
「他人に打ち明けられない、お金の問題や、お金以外の問題を抱えたときに、それがプレッシャーとなり、不正を行う原因となる。」

不正が起こる原因である、お金の問題には、下記のようなものがあります。

  • 収入以上の生活や、ぜいたくな生活
  • ギャンブルの借金や、お酒や、愛人などへの依存症
  • 事業の失敗などによる借金

不正が起こる原因である、お金以外の問題には、下記のようなものがあります。

  • 会社の給料が安い
  • 会社での地位や、評価が低い

2016年6月1日、次のニュースが、メディアを賑わせました。

「製紙大手、北越紀州製紙の子会社・北越トレイディングの、元総務部長が逮捕される。15年間で、約24億7600万円ものカネを横領した。ギャンブルざんまいで、複数の愛人にマンション購入していた。」

この不祥事のように、ギャンブルや、愛人への依存と、そのお金の必要性が、原因となり、不祥事が起こるニュースを、よく目にします。

また、「会社での評価が低い」「給料など待遇に不満がある」といった、お金以外の動機を背景に、不正が起こるケースも、多くあります。

この元総務部長は、もともと、東京にある、本社に勤務していました。
ある時期から、会社のメイン業務ではない、新潟の、小さな子会社に出向になりました。
この元部長は、会社の出世コースからは、大きく外れたのでしょう。

おそらく、この元部長は、非常な憤りを感じ、次のように思ったはずです。
「なんで俺が、こんな地方の小さい会社に?」
「これだけ会社に尽くしてきたのに・・・」

この元部長が、不正を行う、直接のきっかけは、このような、お金以外の動機だったと推測できます。

では、このような不正が起こる、動機の発生を、防ぐことは、可能なのでしょうか?
「個人の考え方だから、動機を、防ぐことは難しいでしょう?」と思いますよね?

もちろん、そのとおりです。

特に、お金の問題は、個人のプライベートな問題でもあるし、また、その人の生活環境や、生まれ育った環境にも依存します。
その人、本人がもつお金に関する動機を、なくしたり、減らしたりすることは、難しいでしょう。

また、「会社での評価が低い」「給料など待遇に不満がある」といった、お金以外の動機は、その人の物事のとらえ方や、考え方のくせでもあります。

このような考え方や、考え方のくせや、習慣を変えることは、難しいでしょう。
しかし、お金の問題の場合には、下記のように、その人の服装、発言、お金の使い方などが、徐々に変化していきます。

  • 最近服装が派手になった
  • お金の使い方が荒い
  • キャバクラやホストクラブで多額のお金を使う

このような変化に、上司や周りの人が気づき、声がけをしたり、相談に乗ったりすることで、不祥事が大きくなるのを、防ぐことは可能です。

また、非金銭的な問題の場合には、下記のような対策をすることで、不祥事が起こる原因を、減らしていくことが可能です。

  • 公平な給与体系、評価制度にする
  • 昇進するための条件を明確にする
  • きちんと従業員に周知する

2.機会

不正を行う機会

不正のトライアングルの、2つ目は、機会です。

機会は、不正を行う機会のことです。
誰にも見つからずに、不法な行為を行う、機会がある、ということです。

さきほどの、「15年間で、約24億7600万円ものカネを横領した、元総務部長」の例で考えてみましょう。

この部長が、不正を行うまでの経緯は、下記のとおりです。

  • 経理や財務に精通していた
  • 子会社では、経理や財務を一手に担う、総務部長
  • 親会社からの出向のため、社長や役員が、仕事に口を出すことはなかった
  • 親会社のように、相互のチェック機能や、統制の仕組みが働いていない

これらのことから、この元部長は、不正を行う、完全な機会があったと言えます。

「一部上場企業なんだから、きちんとした、コンプライアンス体制が整備され、不正を犯せないような、統制上の仕組みが整備されているのでは?」と思うかもしれませんね!

当然のことながら、親会社や、グループ会社の中核の子会社では、コンプライアンス体制が整備され、不正を犯せないような、統制上の仕組みが整備され、不祥事が発生しにくい環境になっているでしょう。

しかし、地方で、グループ会社のメイン事業とは外れた、地方の、小さな子会社では、下記のような状況になっています。

  • 内部統制やセキュリティへの十分な投資がされない
  • 統制の仕組みがあったとしても、形だけになっていることが多い
  • 本社の目が行き届きにくい

そのため、地方の子会社では、不祥事が発生しやすい、環境にあると言えます。

下記のような対策を取ることで、不正のトライアングルを構成する、機会を減らすことが可能です。

  • 特定の人物に職務の権限が集中しないように分散する
  • 定期的な業務の監査を行う
  • 休暇を取らせる
  • 内部通報の仕組みを整備する

3.正当化

不正の正当化

不正のトライアングルの、3つ目は、正当化です。

クレッシーは、横領犯たちを調べているなかで、次のような事実を見つけました。

「横領犯は、通常、次のように考えることで、自分の不正行為を正当化している。」

  • この行為は、本質的には犯罪ではない(単なるルール違反だ)
  • この行為は、正当化できる
  • この行為は、組織の無責任が原因で、自分だけに責任があるわけではない

動機と機会がそろっても、犯罪者でない限り、不正を行うことは、できません。
良識やモラルがあるからです。

不正を行うには、何かの理由が必要です。
それが正当化です。

この元総務部長も、はじめは、ごく小さい額の横領だったはずです。
そして、その横領を、次のように、正当化したはずです。

「このお金は後で返そう」
「不正というより、小さいルール違反だ」
「こんな地方に左遷されたのだから、少しの横領なら、いいだろう」
「悪いのは会社で、自分ではない」

そして、徐々に横領額が大きくなっていくのです。

正当化を、防ぐには、どうすればいいでしょうか?
この正当化も、動機と同じように、その人の物事のとらえ方や、考え方が影響するので、これを変えることは、難しいでしょう。

しかし、そのような、思考の傾向を持つ人を、採用前にチェックしたり、そのようなとらえ方をしないように、ケアすることで、正当化する原因を、減らすことは可能です。

具体的には、下記のような対策です。

  • 入社前に、不正のリスクの診断を行う(考え方の傾向をチェックする)
  • 採用前に、過去の不誠実な事実や、犯罪歴をチェックする
  • 従業員のメンタルケアの仕組みを整備する
  • 副業、兼業を推進する

まとめ

まとめ

ここまで、不正が起こる原因である、不正のトライアングルの3つの要素、「動機」「機会」「正当化」と、それぞれの対策について、説明をしました。

以下に、これまでのまとめを記載します。

不正が起こる原因は、3つあります。
1.動機(お金の動機と、お金以外の動機がある)
2.機会
3.正当化

不正は、この3つがそろったときに発生します。
どれか1つでも欠けると、不正は発生しません。

それぞれの対策は下記のとおりです。

1.動機への対策
  お金の動機(下記のような兆候をつかみ、不正が大きくなるのを防ぐ)

  • 最近服装が派手になった
  • お金の使い方が荒い
  • キャバクラやホストクラブで多額のお金を使う

  お金以外の動機

  • 公平な給与体系、評価制度にする
  • 昇進するための条件を明確にする
  • きちんと従業員に周知する

2.機会への対策

  • 特定の人物に職務の権限が集中しないように分散する
  • 定期的な業務の監査を行う
  • 休暇を取らせる
  • 内部通報などの仕組みを整備する

3.正当化への対策

  • 入社前に、不正のリスクの診断を行う(考え方の傾向をチェックする)
  • 採用前に、過去の不誠実な事実や、犯罪歴をチェックする
  • 従業員のメンタルケアの仕組みを整備する
  • 副業、兼業を推進する

従業員が数十名以下の、企業さまでは、時間とお金がかかるような、コンプライアンス体制や、統制上の仕組みを、整備するのは、難しいでしょう。

しかし、下記のような、最低限の対策を取ることは可能です。

  • 不正の動機や正当化を作らせないような、風通しの良い組織風土づくり
  • 不正を行う機会や、発見の機会を作るための、強制的に休暇を取らせる制度
  • 不正を後から、追うことができる、ログ収集システムの整備

また、下記のような、外注が可能な仕組みを整備するのも有効です。

  • 不正を通報できる、内部通報の制度
  • 不正の動機や正当化の形成を減らすための、メンタルケアの制度

情報漏えいや競業などのリスクが高くなりますが、副業や兼業を推進することで、会社以外の生き方を示すことも、不正の動機や機会を減らすのには、有効です。

※ログ収集システムについては、下記のブログで詳細を書いていますので、必要があればご参照ください。
サーバーの接続履歴を取ろう! 取得できる4つの履歴と2つのメリット!