不正のトライアングル理論を知り、原因と対策に役だてよう!

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クリード・コンサルティングの関口です。
今日は、不正のトライアングル理論について、お話ししようと思います。

「不正のトライアングル理論?」
「なにそれ? 聞いたことない」

多くの人は、この不正のトライアングル理論を、聞いたことがないと思います。

私も、不祥事などの調査をする仕事に就くまでは、この不正のトライアングル理論を、知りませんでした。

不正のトライアングル理論は、不祥事の原因や対策を考えるときに、有効な理論で、「動機、機会、正当化」の3つから成り立ちます。

不正のトライアングル理論は、米国の組織犯罪の研究者である、ドナルド・R・クレッシー(1919-1987)が提唱したものです。

私が持っている、不正対策の国際ライセンスである、公認不正検査士(CFE:Certified Fraud Examiner)のプログラムにも、不正のトライアングル理論が取り入れられています。

最近ニュースを見ていると、銀行の不祥事がとても多いですね。
今年2018年になってから、下記のような不祥事がニュースになっています。

  • つくば銀行(2018年2月19日発覚)
  • 52歳の元行員が、2017年2月から2017年8月に、個人のクライアントから集金した積立金470万円を着服。
    着服した金は、自身の借金の返済に使っていた。

  • 静岡中央銀行(平成2018年3月16日発覚)
  • 46歳の元行員が、2016年 10 月 8 日から2017 年 10月 26 日の間に、借り入れや、融資の契約更新時に、返済や手数料が必要とうそをつき、約125万円を搾取。
    盗んだ金は、自身の借入の返済に使っていた。

  • 七十七銀行(2018年6月18日発覚)
  • 26歳の元業員が、2018年6月15日、クライアントから、違法に入手した通帳などを利用して、現金90万円をだまし取った。
    過去にも、クライアント8名から約690万円をだまし取っていた。
    だました金は、競馬や借金の返済に使っていた。

  • きらぼし銀行
  • 36歳の行員が、法人2社と個人のクライアントから、総額3億7500万円を着服した疑いがあり、2018年7月8日付で懲戒解雇。
    行員は現在失踪中・・・

なぜ、このような不祥事が起きるのでしょうか?

不正のトライアングル理論では、「動機」「機会」「正当化」の、3つの要素(原因)がそろったときに、不正が起こる、というものです。

以下に、不正のトライアングル理論の、「動機」「機会」「正当化」について、説明したいと思います。

動機

不正が起こる動機

不正のトライアングル理論の、1つ目は、動機です。

先ほど見た、ニュースに当てはめて、動機を考えてみたいと思います。

  • つくば銀行の例では、着服した金は、自身の借り入れの返済に使っていました
  •  この借り入れの返済が、お金をぬすんだ動機です。

  • 静岡中央銀行の例では、ぬすんだ金は、自身の借り入れの返済に使っていました
  •  この借り入れの返済が、お金をぬすんだ動機です。

  • 七十七銀行の例では、だました金は、競馬や借金の返済に使っていました
  •  この競馬や借り入れの返済が、だました動機です。

上記3つの事例では、不祥事を行った動機は、個人的な借り入れの返済と、ギャンブル(競馬)です。

個人的な借り入れの金額や、競馬に使うお金が、自分の生活レベルを超えてきたときに、会社のお金に手を付けてしまうのです。

初めは、「ほんの少しだけ」とか、「あとで返すから」などと、小さい金額からはじまり、だんだんと、手を付ける金額が大きくなるのです。

組織の中にいる個人が、不祥事やルール違反を行う場合は、借金、ギャンブル、お酒、愛人、ぜいたくな生活などが、動機になります。

機会

不正が起こる機会

不正のトライアングル理論の、2つ目は、機会です。

お金を盗んだり、不正を行う機会があるということです。

万引きの例を考えると分かりやすいのです。
万引きは、店員がいないときに、商品をこっそりとポケットに入れたり、バッグに入れたりして、商品をぬすむわけですが、これは、ぬすむ機会があるということになります。

店員や警備員が、ずっと商品やお客さんを、見ているわけにもいかないので、このような商品をぬすむ機会は、あるのが普通です。

さきほどのつくば銀行の例でみてみると、「52歳の元行員が、2018年2月から2018年8月に、個人のクライアントから集金した積立金470万円を着服」とあります。

この元銀行マンは、おそらく外回りの営業のような仕事をしていて、自分のクライアントから、直接、銀行に積み立てるお金を集金する機会があったようです。

いまどき、現金回収するの?と私も思いますが、地方だと、家の近くに銀行がなかったり、身体が不自由なため、銀行にいけなかったり、パソコンやスマホを持っていなかったりすると、銀行の営業マンが、クライアントから直接お金をあつめる機会があるようです。

この不正をした元銀行マンは、あつめたお金を、自分のポケットに入れる機会があったということになります。

銀行以外の普通の会社においても、金庫にあるお金をぬすんだり、会社の機密情報をぬすんだり、倉庫にある商品をぬすんだり、取引先からリベート(キックバック、キャッシュバック)をもらうなど、さまざまな不祥事が起こりますが、これは、そのようなこを行う機会があるということになります。

正当化

不正を正当化

不正のトライアングル理論の、3つ目は、正当化です。

正当化は、自分がしたことの言い訳をしたり、理由をつけたりして、自分の行いを正当化することです。

私が、学生時代に居酒屋でアルバイトをしていたときに、働いていた店の店長が、店の売り上げのお金を飲み代に使っていたことがありました。

その居酒屋では、居酒屋の営業が終了した後に、店長やアルバイト達で、飲みに行くことがよくありました。

その店長は、現金の持ち合わせがなかったりすると、その日の売上金から、1万、2万円くらいを借りて飲み代に使い、あとで自分のお金を、売上金に戻すということをしていました。

その後、借りる金額が徐々に増えていき、それが会社にバレて、店長から一般社員に降格になったようです。

この店長は、はじめは、「持ち合わせがないから、ちょっと借りるだけ」「あとで返すから」と、自分が行っていることを正当化していました。

そして、次第に「借りる」金額が増えていきました。

万引きも同じです。

はじめは、「1回だけ」と自分の行いを正当化します。
その万引きが、店員に見つからずに、うまくいってしまって、徐々に万引きの回数が増えて、癖になっていきます。

人間は、家族や地域社会、学校の教育を通じて、良いこと、悪いことの区別を学んでいきます。
人のものをぬすんだり、悪いことをすることは、いけないこと、と人間の脳の深いところに、埋め込まれています。

そのため、「いけないこと」をするためには、自分への言い訳が必要になるのです。
それが正当化になります。

一度、「いけないこと」の正当化ができると、「やっても大丈夫」なことに変わり、常習化していきます。

まとめ

まとめ

これまで、不正のトライアングル理論と、それを構成する、動機、機会、正当化について、見てきました。

不正のトライアングル理論では、動機、機会、正当化の3つがそろったときに、不正が発生するというものです。

外回りの銀行員が、自分に借金やギャンブル癖があり、不祥事をおこす動機があっても、お金を盗む機会がなければ、不正はできません。

不祥事を行う動機があり、お金を盗む機会があっても、「いけないこと」はしないという道徳心が強ければ、不祥事は起こりません。

動機、機会、正当化がそろったときに、はじめて、不正が起こるのです。

会社で起こる不祥事、規定違反、コンプライアンス違反などにも、不正のトライアングル理論が応用できます。

不正のトライアングル理論に当てはめて、不祥事やルール違反が起こった原因を分析し、不祥事やルール違反などが起こる機会を減らしていくことが可能です。

もし、あなたの身の回りで、不祥事やルール違反などがあったら、この不正のトライアングル理論に当てはめて、原因や再発防止を、考えてみてください!